「手に職をつける」という呪いを解くまでの話

手に職をつけることが正解だと思っていた頃

「手に職をつけなさい」。これは、学生時代から何度も耳にしてきた言葉です。両親、先生、果ては就職活動の説明会で耳にする企業の人事担当者まで、まるで人生の指針のように繰り返されました。

その言葉に、私も確かな説得力を感じていました。親世代が厳しい経済状況の中で家計を支えてきた話や、不況で職を失った人々のニュースを見て育った私にとって、「手に職」は、まさに人生の安定を象徴する言葉だったのです。

だからこそ、私はその教えを疑うことなく、専門的なスキルを磨き、正社員として働く道を選びました。そして、就職先を選ぶときも、「専門性が高く、長く勤められる会社」を第一条件に掲げていました。

しかし、ある日気づいたのです。この「手に職をつける」という言葉が、私の人生を縛る呪いになっていたことに。


「なぜこの仕事をしているのか?」という問い

ある日、忙しい仕事の合間にふと考えました。「私はなぜこの仕事をしているのだろう?」。その瞬間、答えが出てこない自分に驚きました。

確かに「手に職」はつけた。でも、それが意味するのは、ただ「お金を稼ぐための技術がある」というだけのこと。もっと言えば、仕事を通じて私が得ていたのは、「生活費を稼ぐ」という現実的な目的を果たす手段だけでした。

「それでいいじゃないか」という声もあるでしょう。実際、そう割り切れる人も多いと思います。でも私は、人生の大半を費やす仕事が、ただの「賃金を得る手段」で終わってしまうことが、どうにも納得できなかったのです。


「地に足をつける」という考え方への転換

そこで私は、少しずつ自分の価値観を見直していきました。そしてたどり着いたのが、「手に職をつける」よりも「地に足をつける」ことの大切さです。

「地に足をつける」とは、自分にとって心地よい場所で、自分らしく生きること。社会の評価や誰かの期待に振り回されず、自分のペースで進むこと。それは、スキルや肩書きに縛られず、ただ自分がやりたいこと、楽しいと思えることを素直に選び取ることでもあります。

私はこの考えに出会ったとき、「ああ、これでいいんだ」と肩の荷が下りたような気持ちになりました。


呪いを解くための第一歩

もちろん、長い間「手に職をつける」という考えに縛られていた私にとって、この価値観の転換は簡単なものではありませんでした。

例えば、これまで積み上げてきたスキルやキャリアをどう活かせばいいのか。スキルを磨いてきた自分の努力を否定するのではなく、それを土台に「地に足をつけた生き方」を模索する必要がありました。

そこで私は、これまでの仕事を通じて何が楽しかったのかをじっくりと振り返る時間を持ちました。そして、その中で自分が「人と対話し、何かを伝える」ことに楽しさを感じていたことに気づいたのです。


これからの生き方:新しい冒険物語を紡ぐ

「手に職をつける」という呪いを解いた今、私は新しい目標を立てました。それは、自分が心から楽しいと思えることを少しずつ増やし、それを仕事や生活の一部にしていくことです。

それは、これまでのようにスキルを積み上げるという努力とは少し違います。むしろ、自分のペースで「地に足をつけて」人生を歩んでいくこと。たとえそれがゆっくりだとしても、自分にとって心地よい道を選んでいくことが大切なのだと気づきました。

2025年は、その冒険物語の新たな1ページを作る年にしたいと思っています。


みなさんへのメッセージ:あなたの呪いは何ですか?

この記事を読んでくださった皆さんにも、「呪い」となっている言葉や考え方があるかもしれません。「安定した職業に就かなければならない」「人に評価される生き方をしなければならない」など、気づかないうちに自分を縛り付けているルールがあるのではないでしょうか。

もし心当たりがあれば、その呪いを解くために少しだけ立ち止まって考えてみてください。そして、自分にとって本当に大切なことは何かを見つめ直してみてください。

人生は長いようで短いもの。大切なのは、「手に職」ではなく、「地に足」をつけて、自分らしく生きることです。私の物語が、少しでもあなたの心に響き、新しい一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

お互いに、心地よい場所を見つけて歩んでいきましょう。

それでは、また。

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